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二人で気持ちも身体もお湯で静めて部屋に戻ると、先に風呂を済ませていた翔さんと圭さんが、ベッドとベッドの間に小さな折り畳みテーブルを出して待っていてくれた。 「歓迎会だ」 翔さんが、缶ビールを俺達に手渡しながら言う。 「つまみは大したものないけど」 テーブルには、少しのお菓子とブルーベリーが置いてある。 「ブルーベリーだ!」 「これは叔父さんから」 和が嬉しそうに座る。俺も自然とその隣に座った。 缶ビールを開けて乾杯すると、翔さんが話し始めた。 「では改めて自己紹介。俺は大学4年の22歳。親父と叔父さんが知り合いで、この農園には子供の頃から来ていて、高校に入ってから夏はバイトするようになった。もう……7年目か……残念ながら、就職するから今年で最後だけど……で、こっちが…」 「自分で話すよ」 翔さんが続けて話そうとするのを、圭さんが止めた。 「俺は、翔と同じ歳。この農園には4年前から手伝いに来てる」 「圭さんも、今年で最後ってことですか?」 「まあ……そうかな」 普通に話す翔さんと比べて、どこか寂しそうに話す圭さん。このバイトが気に入ってるのか……大学生活が終わる寂しさか……… 「俺は、大学2年です。叔父さんの甥っ子さんが経営してるカフェで、バイトをしてて……今年は人手が少ないと聞いて、手伝いに来ました」 圭さんの隣にいた和が、続けて話す。 「……ああ、仁さんのカフェ?俺もブルーベリーを届けに行ったことがある。ケーキが旨いんだよな」 翔さんが、ブルーベリーを口に入れて言った。この人も、かなりのイケメンなんだよな……… 圭さんと並ぶと、普通の美男美女のカップルに見える。 「俺は大学1年です。和が手伝いに行くって言うので、ついてきました」 本当は恋人ですって言いたかったけど、和に相談もなしで言ったら怒られそうだから止めておいた。 でも、牽制はしておきたいから、身体を和の方に寄せる。 「…………仲良しなんだな」 なんだか色々分かってそうな圭さんが、片方の口角を上げて言う。 対して翔さんは、「そうなんだ」なんて呑気にビールを飲んでいる。 全然伝わってなさそうだな…… 「二人はいつから?」 伝わってそうな圭さんからの質問。 「えっ……あの中学の後輩で、高校の後輩で……」 なんとなく圭さんの意図に気づいた和が、しどろもどろ答える。 「もしかして、大学も一緒?」 圭さんが続ける。 「………そうです」 「ふーん。ずっと一緒なんだ」 「はい……」 「…………羨ましいわ」 羨ましい……………? 「翔さんと圭さんは、大学は一緒ですか?」 「いやいや違うよ。圭とは、毎年ここで夏だけの付き合いかな」 「そうなんですか?凄くなか良さそうに見えます」 「うん……なんでかな、こいつとは気が合うんだよね」 翔さんの一言に、圭さんの顔がうっすら赤みが差した気がした。
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