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マグカップから唇を放してホッと一息つく。
ほわりとした湯気に、甘い香りが漂う。
幸せそうに微笑む汐里を見て、樹が言った。
「しおりん、紅茶好きだね。おいしい?」
「うん!おいしいよ!大好きなの」
えへへと笑いながら汐里が手に取ったのは紅茶の入った缶。
有名なブランドのキャラメルミルクティーだ。
少々お高めだったのだが、頑張る自分へのご褒美として買ったものだった。
喉の奥を通り抜けていくと、ふわっと優しく幸せな気分になれる。
樹と一緒に暮らし始めて一ヶ月足らず。
結婚に向かっての話も少しずつ動き出し、手探り状態ではあるが二人で着々と歩み始めたところだった。
今日は汐里の休みの日。
樹が仕事に行くまでの間、一緒に過ごせるのが嬉しかった。
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