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伊織はにこやかにしつつも樹の様子が何か変だと思っていた。
「えへへ~。伊織さんに会えちゃった。今朝、樹くんと伊織さんの話をしてたんですよ~」
「へぇ~、樹クンと?どんな話してたの?」
「キャラメルミルクティーの味が甘くて伊織さんみたい~って」
それを聞いた伊織は、心の中で「はは~ん」と何か感づいたようだ。
にこやかに、そして楽しそうに会話する汐里と伊織。
樹の表情は相変わらずだ。
あまりにも話が弾んでいたところへ、樹が割って入った。
「すいません、オレたちこれから予定があるんで」
「ああ、そっか。ついつい話し込んじゃってごめんね」
申し訳なさそうに伊織が言う。
「結婚指輪を見に行くんです。な、しおりん」
「うん!」
「そういうことなんで失礼します。ほら行こう」
ぺこりと会釈をしたあと、樹は汐里の手を引いてそのまま歩いていった。
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