怪しい館には幽霊が出るのか

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怪しい館には幽霊が出るのか

「あのーちょっとわざわざこんなところまで私来る必要性ありますか?」 正直帰りたいとも思いつつ前を進む櫻井の後を追う。周りは木の生い茂った森でまだ朝なのに夜のような暗さでいかにも怪奇現象が起きそうって感じがする。 「まだまだ!もう少ししたら噂の幽霊屋敷に着くから!」 とニコニコで言ってくる。今日は先生も私服で紺色のズボンに白のワイシャツ、その上から青ぽっいセーターを着ていて、さやわかな感じになっていてなんだかいつもよりも若く見える。 美羽は今日は動きやすい白のストレートジーンズに淡い緑のアーガイル柄のオーバーセーターを着ている。こちらもそれなりにおしゃれに決めていて普通に大学生ぐらいには大人びて見える。 「それ笑顔で言うことですか!」 「大丈夫!大丈夫!もしもの時はお互い護身術でなんとかすれば良いんだから!」 「そーゆう問題じゃない!」 そう美羽は金馬に引き取られてからしばらくして合気道を習わせてもらったのだ。多分強面の男二人ぐらいなら軽く倒せるとは思うが正直この状態でいきなり出てこられたら相手にならないと思う。櫻井も昔合気道と空手をやっていたらしくかなり強いらしい、昔とった賞状やトロフィーを見せてもらったことがある。 「ああ、ついたついた!」 と言って先生が聳え立つように立っている屋敷を指差した。あまりにも大きなその屋敷に美羽はちょっと身震いがした。屋敷の周りにはツルがまとわりつくように生えていて、ガチのお化け屋敷って感じがするのに、、、 「いやー!これはガチで出てきてくれるかもしれないよ!本物の幽霊とご対面で来たら本当に嬉しいんだけどなぁ!」 とルンルンのがいる。 「それより美羽さん。そろそろ離してもらっても良いかな?」 「えっ?」 と言って自分の手を見てみると、、、 「あー!すみません!無意識に!」 そう言って握りまくっていた先生の上着から手を離す。 「えーと、これいつから、、、、」 「森に入る所からずっとしがみついてたけど、、、美羽さんもしかして幽霊とかお化けとか怖い感じかな?」 ギクっ! 「ああ、怖いんだね。ごめん。てっきり全然大丈夫だと、、、だってあんなに学校の七不思議解き明かしちゃうんだもん!」 「いやだってあの時は幽霊も何にも出ませんでしたから!あれ全部生徒とかのいたずらとか科学的現象だと始めから分かってましたから!」 そう美羽は怪奇現象だの幽霊だのお化けだの妖怪だのその他諸々全部苦手、、、いや大の苦手だ。とにかくそういう感じ系は本当に怖い! 「なんか意外だね。殺人事件の犯人とか見ても冷静でいられるのに、幽霊とかは無理なんだね。」 「人間誰でも怖いものはあるでしょう!」 「美羽さんでも怖いものはあるんだね。」 そこで美羽が言い返そうとすると急に茂みから何かが飛び出してきた。美羽が咄嗟に櫻井の後ろに隠れると、、、 「美羽さんただのうさぎだよ、、、、」 「えっ?あー!ごめんなさい!」 「あのね、君ももう大人なんだからこう、、、誰にでもしがみついたりとかしたらダメだからね?」 「それ先生が言います?」 (あんたも顔急に近づけたり、手握ったりしてますけど?) 「じゃあ早速中に入ろうか?」 とまたルンルンの先生に戻って、入り口を探している。 「先生これ不法侵入じゃないんですか?」 「じゃあ、どうするの?幽霊を呼んで、ごめん下さ〜いとでも言って中に入れてもらう?僕は別に良いけど、、、」 「ああ〜もう!分かりましたから!」 と言って櫻井の近くにとりあえずいった。できるだけ一人ではいたくない。 「あっ!扉があったよ!」 そう言って櫻井が開けようとする。 「ダメだ開かない、、、」 そう言って美羽の方を見つめてくる、、、、 「ああ〜はいはい。開ければ良いんでしょう!」 そう言って美羽は自分の白と淡い茶色のショルダーバッグから携帯用の裁縫道具を取り出す。少し鍵穴を観察して、一つ目の針と三つ目の針を取り出して二、三回上に持ち上げたりしてくるりと回すと気持ちがいいほどあっさり開いてくれた。 「さすが!美羽さん!腕利きピッチング師だね!」 「その言い方はやめてくださいよ!」 そう言って櫻井がまず部屋に入る、中は真っ暗で試しに先生が電気をつけようとスイッチを入れたが無理だった。仕方なく美羽はカバンに入っていた携帯用の懐中電灯を取り出す。 「美羽さんなんでそんなの持ってるの?もしかしてそのカバンの中四次元ポケットになってたりする?」 「そんなわけないじゃないですか!もしもの時ようですよ!」 「めちゃくちゃやる気満々じゃないか!」 「暗い中幽霊から逃げ回るだなんで地獄なこと死んでもやりたくないですからね!」 そういうと先生は笑いながら屋敷の中に足を踏み入れた。美羽も先生の後にピッタリとくっついて歩いている。ミシミシと木の軋む音がより恐ろしく聞こえる。廊下を歩いていくと、大きな部屋にたどり着いた天井からはシャンデリアが吊るされ、西洋風のお屋敷にありがちな階段があってその踊り場の壁には若い綺麗な女性の肖像画が飾られている。普通のお屋敷に飾られていたら美羽も気持ちが楽だったことだろう、、、だがこんなにあちこちにものが散乱し、ただでさえ君の悪い屋敷に飾られていてはこちらも決していい気分にはならないものだ。 「かなり雰囲気が出てるね!本物が出てきてくれたら嬉しいんだけど!いきなり幽霊の力で部屋に閉じ込められたり、、、、とか!」 そう言って面白そうに話す先生が言いながら一つの部屋に入った。家具などが散乱していて奥に何があるのかもよく見えない。 「ここは何もなさそうだね。次に行こう!」 そう言ってルンルンで部屋を出た瞬間ドアが勢いよく閉められた。一瞬美羽の頭の中は真っ暗になった。いや明かりもなくなって目の前に見えるもの全てが真っ暗だ。 「えっ!ちょっと!先生!もし冗談なら後で痛い目に遭いますからね!」 「僕じゃないよ!勝手にしまったんだ!美羽さんもう一回ピッチングで開けられる?」 「今やってみます!」 そう言って美羽がカバンから裁縫道具を出そうとすると、、、 「キャーーーーーーーー離して!離してったら!」 突然美羽の背後から何者かが体を押さえつけてきた。 「美羽さんどうした?!」 櫻井の声が聞こえるが、美羽はもうすでに口を押さえつけられていて狼狽えることしかできない。しかし、ここで美羽は完全にこの屋敷が怖くなくなった! そのまま後ろにいた何者かの腕を自分の口から剥がすと背負い投げで下に投げつけてやった。相手はちょっと本気でやりすぎたらしく身動き一つしていない、流石に死んではないと思うが気絶はいているだろう、、、 そこで美羽の後ろにあった扉が向こうの壁に吹っ飛んでいった!もう少し後ろにいたらおそらく美羽に当たっていただろう、、、 「美羽さん大丈夫かい︎️⁉️ってえっー!一体何があったの!」 そう言って私が先ほど投げつけてしまった気絶中の人物、中年の太った男の人に目をやった。暗闇の中だったから咄嗟にやっていたけど少し重いとは思っていたから男の人だろうとは思っていたけど、、、この人私が背負い投げしたの?!人間って侮れない!と美羽はそう真面目に思っていた。___ 「それであなたはどちら様ですか?」 櫻井が美羽を先ほど襲った男に普段より少し怖い口調でいう。どうやらここの部屋の電気はつくようで、しっかり天井に吊るされた豆電球が光っている。 「えっと、、、名前は筒島 聡(つつしま さとし)で職業は作家です。」 筒島と名乗る人物がボソボソといった。 「それで?どうしていきなり僕の助手を襲ったりしたんだすか?」 やや怒り気味というように先生が筒島に尋ねる。 「ここには人が全く来ないですし、、、執筆には良さそうだったんですが、、、なんだか妙なんです。」 「妙と言いますと?」 「その、、、幽霊が出るみたいなんです。」 「、、、えっ?」 「最初は気のせいだと思ってたんですけど、、、ここ女の霊がでるみたいなんですよ。あとは子供の霊、ミズコと言うんですかね?実際に姿を見た事があります。隠れていたので見つかりはしませんでしたけど、、、」 「まだ私を襲った理由についてがまだです。」 周りを熱心に調べていた美羽が調べながらいった。どうやら筒島が幽霊じゃないと分かった瞬間怖くなくなったらしい、、、 「えっと、、、それは、、、あなたは確か高校生探偵で有名の羽里美羽さんですよね?」 「ええ、そうですよ。」 「あなたにこの謎を解いてここから出して欲しいのです!お願いします!こんな恐ろしい館に一人、閉じ込められるのはもうごめんです!」 「はい?、すみません話についていけないのですが、、、つまりあなたはここの館に入ったものは霊の力によって監禁されるとでも言いたいんですか?」 櫻井の問いに筒島は縦に首を動かす。 「なるほど、、、わかりました。その依頼引き受けないことには私たちもここからでれないようなのでお引き受けします。」 「えっ、ちょっと美羽さん!大丈夫なのかい?君は幽霊恐怖症じゃなかったの?」 「本物じゃなければ大丈夫です!」 「本物、本物じゃないってそう簡単には分からなくない!?」 そんな話をしていると筒島があの、、、とやや控え気味に 「なんで俺のことは幽霊じゃないって分かったんですか?」 「手が暖かかったから。」 「えっ!即答!ていうかそれだけの理由で怖く無くなるの?!」 「はい先生、うるさいです。とりあえず状況を判断しないと調査が進まないので、、、」 「えー!美羽さんいきなり刑事モード!」 大人と思えない先生の切り替えのなさに少し呆れながら美羽は調査を始めた。__
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