2.5次元のいがみ合い

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カシャ。 シャッター音が部屋中に響き渡った。 「もっと…この角度だな……」 髪の毛を整えて、もう一度シャッターを押す。 「……いいじゃん」 写真に写ったのはアニメからそのまま取り出したかのような「私」。 加工機能で顔あたりを少し修正する。 隣にはパソコンを置きキャラクターに少しでも近づくように。 「よし…」 写真をアップロードしています… ぐるぐるが回る。 アップロードが完了しました。 即座に投稿画面を押した。 一気に観覧数が増えていく。 「可愛い」 「え…現実…?すごい」 ふふーん。そうだろそうだろ。何時間かけたと思ってるんだい だけどいつも通り「奴」から返信が来た。 「俺のほうがすごいし?」 奴、とは同時期に初めたコスプレイヤーだ。 低予算のくせしてちゃんと近づけてくるのだ。 「どこがすごいのか言ってご覧なさいよ」 すると奴はリンクを張ってきた。自身が同じキャラをコスプレしたときのものだ。 「これメイク時間20分」 ……悔しい。私は1時間かかったというのに。 「お前には負けない!」 次はもう少し凝ったものをしよう。 早速メイク道具を調べる。 と、ここで匿名さんから返信だ。 「いがみ合ってる暇があったらもっと研究しなよ。コスプレは競うものでもない」 そして追い打ちをかけるように一言。 「コスプレイヤーは遊びじゃないから」 最もな意見であった。 この主人公が「奴」と尊重し合うようになるのはまた別のお話である。 完
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