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一学期も中盤に入った六月。五年生にとって一大イベントである七月の林間学校の準備が始まった。
主な活動は班ごとに行う。その中身は飯盒炊飯、キャンプファイヤー、肝試しと、目白押しだった。
学級活動の時間の度に、班ごとで話し合い、各自の役割を決めていった。
その役割決めの際、うららはいつもとても辛そうにしていた。同じ班の女子といまひとつ打ち解けられていないせいであった。
それは普段から、掃除や給食の折に、輝はすでに気づいていたことでもあった。
輝とうららが属する二班の女子メンバーである小林佳奈と佐久間樹里は、ともに四年二組からの知人であり、去年まではそう親しかったわけではなかったようだが、新クラスで同じ班になったよしみですっかりべったりの仲となっていた。そして質の悪いことに、その旧知の間柄を振りかざし、うららをハブにして楽しんでいた。
呉服屋の息子であり、物心ついた頃から茶道や華道、着付けといった女性の多い業界に接しており、いわゆる大奥的な価値観を熟知している輝は、佳奈と樹里の浅ましさを肌で感じた。
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