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学食
三限が自習なので、学食は優花たちのクラスメートで独占状態だった。優花の高校は大学のような自由さが評判で、自習になったら、教室にいなくてもいい。一応予習プリントはもらったが、誰もやってない。
「はぁーいい匂い。お腹空いてきたわ」
誰とも言わず、皆口にしている。
昼休み前の学食はカレーやお出汁の香りが漂い、その場にいられる自由を与えし者たちに、食欲を抑えられるヤツはいない。おまけに外周マラソン後ときたら、脳内食欲のみで、クラスの全員が弁当食べたり、今買える唐揚げ、フランクフルト、パン、などを、くっちゃべりながら笑ってる。下品だが、この表現がピッタリくる学食風景だ。
「えっ、お母さんお弁当作ってくれてたんや、ごめん疑ってしもた。ありがとうっお母さん」
優花はリーザーブ優花の背後から手を伸ばして、おにぎりをつかもうとしたが、するっとおにぎりを通過してしまった。
「フフッ」
と小さく笑ってリザーブ優花がおにぎりにかぶりついた。
「あんた、お母さんのおにぎり……味わって感謝して食べや」
「めちゃめちゃ、美味しいわぁー」
リザーブ優花がおっきく口をあげて、おにぎりを頬張っている。
「ありがとう」
リザーブ優花は驚いた顔で、優花を見つめた。
「なんや、お化けちゃうで、一緒の顔なんやから」
「優花、どーしたん。後ろに何かあるの」
めぐたんが急に振り返ったままの、リザーブ優花を気にしている。
「ううん、何にもないよ」
前を向いた、リザーブ優花はお弁当の卵焼きをパクリと食べて
「ほんまに、美味しいなぁ」
一口ごと褒めていた。
「いや、優花泣いてるやん。もーお弁当食べて泣くなんて、お腹減ってたんやな、ヨシヨシ」
友人の近田 翔子が
リザーブ優花の頭を撫でてあげた。
「私、お弁当食べて泣いたことないけど。あいつ、リザーブのくせに、ええ奴やん」
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