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ふと腕時計を見たら、6時間8分36秒になっていた。
「あかーん。ほめてる場合ちゃうやん。はよ偽物ってバレなあかん。翔子!頭撫でてる場合と違う、誰やねんって、頭パチーンで、はたいたってーな」
リザーブ優花は弁当を食べ終わって、みんなと仲良くお菓子を食べだして、まったりタイム。
優花だけが、落ち着きなくウロウロしていた。
学食のドアが開く音とともに
「ビックニュースや、皆んな、すごいで!」
大声の主は塙 康二。クラス一番のお調子者で陸上部だ。
「4限目ですが……自習になりましたぁー」
うわあー、やったー、サイコー
学食は歓喜の渦。
リザーブ優花と優花は、横に並んで同時に
「ヤッタァー」
と叫びながら、右手を上げてジャンプしながらクルッとまわって喜んだ。
「シンクロすな、私やん」
歓喜の輪に入れない優花は、急に孤独と寂しさが襲ってきた。みんなから離れて、一人壁にもたれて、涙が止まらなくなってしまった。
「なんで、こんなんいやや」
「はいはいはい、2年B組の皆さん。こんなの大ニュースじゃないんですよーここからが!凄い!」
塙は手を叩きながら、みんなを煽ってきた。
「えっ、なに?なんや?塙なんや、はよ言いーさ。焦らさんといてーな」
優花は塙に文句を言いながら歓喜の輪にまたもどっていた。
優花の涙を止めたのは、塙 康二だった。
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