3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
高校
優花は高校の目の前の信号までたどり着いた。四車線の大通りのため、行き交う車もひっきりなしだ。
「あっめぐりん。めぐりーん」
体育の時間だった。外周マラソンをしていたので、同級生の姿を見つけた優花は大声で呼んでいた。が、エンジン音にかき消されて
めぐりん達には届かないようだ。
「早く青になれ、早くっ早くっ」
友達の姿を見て、両足をバタつかせながら信号の青を待つ姿は、さっきまで鉄球を引きずっていたのが嘘みたいに元気になっている。
「はい、青になったー」
優花はダッシュで信号を渡り始めた瞬間、外周している一人の女の子を見て足が止まった。
「えっ…わ、た、し…」
少し猫背で痩せ型。ショートカット。顔も、、、。
一瞬だがそう思った。
その女の子の姿はもう見えない。優花は信号が点滅し出したので慌てて走って渡り切った。外周は終わったのかもう生徒は走ってない。
優花は短距離は得意だが長距離走は苦手だ。外周ビリなのは毎度のことだった。
「いやいやいや、私じゃないでしょ。馬鹿馬鹿しい。確か三クラス合同だから見慣れない女子だったのかも」
朝から忘れ物騒動で精神的に動揺してるのだと思い、まずは校門横の自転車置き場に行ってみた。
最初のコメントを投稿しよう!