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「あったぁー」
自分の赤い自転車を見つけて小躍りして喜ぶ優花。
「いやーホントにアホだわ。私って」
忘れ物が見つかった時の嬉しさは、地獄から天国、逆転ホームラン級の嬉しさ半端ない。
「さぁ、お次は部室行ってみよっ」
ノリに乗ってるバラエティのMCのような、ご陽気な掛け声と共に部室へ走り出した。
「えっ、どこ、ないないない。嘘でしょ。なんで」
テニス部の部室には、リュックもラケットもなかった。
「ちょっと待って、えーと昨日、ここに寝っ転がって豆大福食べてました」
優花は昨日の自分を再現し始めた。ベンチに横になってみて豆大福を食べる真似までしている。
「それから、ここにリュック置いてたよな」
寝転がりながら左手を下げてリュックの場所を確認している。
「ないやん」
優花はベンチに座って考えだした。盗まれた?誰が?そんなことある?いやないな?
「もーどうなってんの」
髪の毛をかきむしりながら、立ち上がった時、笑い声がした。優花は笑い声の方に顔を向けた。
北島と刺繍されたジャージを着ている自分が立っていた。
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