恋される、ほろにがクッキー

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「ご馳走さん!」「美味かった!」「また作ってきて!」  そう言い逃げして教室から飛び出していく彼ら。多分今から時間めいっぱい体育館でバスケをするのだろう。 「ふぇ~ん。遥、また作ってきてくれる?」美琴が半泣きで訴える。 「うん……コーヒーの残りが少ないから半分の量になるけど」 「それ!それ絶対全部私の分でお願い!」  そんなに気に入ってくれたのなら、やっぱりインスタントコーヒーぐらい買ってきて作ってあげてもいいかな、と思った。  ―――何か変だ。 「遥、今度の土曜日映画行かないか?あ、部活?残念だな」 「遥って、キレイな髪なんだな」 「宿題わからないところないか?数学なら教えるぞ」 「遥、部活終わったら…一緒に帰らないか?」  なんなの?なんなの?なんなの???  急にクラスの男子が優しくなった。  それも、1人や2人ではない。  しかも辰巳まで「この前の告白の取り消し……、取り消しを取り消したいんだけど」なんて真面目な顔でふざけたことを言うから面食らった。  何?モテ期到来!?  だけど辰巳の件があるので、そう素直に浮かれる気分になれない。  しばらく様子を見よう。  ―――そう、その判断は賢明だった。
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