恋される、ほろにがクッキー

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 やはり3日もすれば「遥ごめん。この前言ったこと忘れてくれ」と頭を下げられた。辰巳を含め、甘い言葉を囁いてきた男子全員に。 「なんなのよ…。何かのゲームなの?」  昼休み、私は吹奏楽部の部室でひとりティンパニの手入れを進める。  最初の辰巳の告白にはドキドキしたけど、あぁも複数人に甘い言葉を囁かれては不信感しかない。  告白こそされる事は無かったけど、それを真に受けて後で訂正でもされたらいい笑い者だ。 「人を馬鹿にするにも程がある…」私は思わず眉間にシワを寄せる。 「どうした。そんなに力入れるほど汚れていたのか?」  背後からの声の主に私は飛び上がるほど驚いた。 「岡辺先輩!」  3年生は夏のコンクールを最後に引退しているので、まさか部室にそれも昼休みに岡辺先輩が来るとは思いもしていなかった。 「ど、ど、どうしたんですか?」思わず声が上ずる。 「驚かせてごめん。ドラムのスティックを忘れていたから…あ、あったあった」  打楽器の用品が入った箱から細長い巾着を取り出し、中身を確認する。 「じゃ、部活頑張れよ」  無駄口を叩く事なく岡部先輩は去っていった。  ドラムは叩くのに……。
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