プロローグ

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プロローグ

 全ての人生にはサウンドトラックがある。  ジョディ・ピコの言葉だ。  時にロックで、時にバラード。時にブルース。  人生の感情の起伏は、音楽だ。  歌が好きだった。  歌うことが好きだった。  上手かったか、と聞かれると、中の中だったと思う。自負している。  特別上手くはなかった。  でも、魂で歌っていた。  心沸き立つ、その思いを、腹の底から爆発させて、口から飛び出させる。そんな感覚。  それが届くと、魂を揺さぶる曲になる。それを信じていたし、実際そうだと思う。  人生は、音楽だ。  単調かと思えば、急に曲調が変わる。  不恰好な音楽も、聴いてみれば面白い。  誰も真似できない音楽が、心にある。  例えば、フジロックの観客全員に響かせるように。  例えば、窓越しに恋人にそっと贈るように。  届け。
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