第1章 強くてニューゲーム?

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(なんでだ…中身は大人だから、子供の勉強内容なんて楽勝だと思ったのに…) ある日、僕は自室で思い詰めた。だがすぐに気付いた。自分は今まで、大して頭を使わずに生きてきたことに。 公立進学校である桜崎第一高校に行けなかった後の自分は、堕落していたの一言に尽きる。人生を悲観しながら、高校の中でも無気力に、かつ斜に構えて生活していた。その結果友達も出来ず、何かに打ち込むこともせず、さらには大学受験の対策もまともに行うことなく、誰でも入れるような大学に進学した。大学でも無気力に過ごし、勉強も最低限しかやらなかった。それでも卒業出来てしまうほど、緩い大学だった。就職活動は適当に何社か受け、受かった1社に入ったが、あまり居心地の良い会社とは言えなかった。 つまり、まともに頭を使い、勉強に対して必至に向き合ったのは中学の頃のみということだ。 あれもこれも、桜崎第一高校に入れなかったからだ。 受験して落ちたなら、学力が足りなかったと諦めがつくかもしれない。だが公立高校を1つしか受けられないというシステムがあったことや、僕の父親が冬に事故に遭い、金銭面の見通しが不安になったことで、近くの中堅公立高校を受験するしかなかった。学力的には問題なく合格出来、試験当日の問題もスラスラ解けた。問題はスラスラ解けすぎたことだ。トップクラスとまでは行かなくても、もう少しレベルの高いところを受けても良かったのではないかという後悔を、解いている際に何度も味わった。私立もそれなりのところから合格をいただいてはいたが、学費の面で厳しいと結論が出た。挑戦する権利すらなかったこと、それは僕にとって大きな悔恨となった。 そこから転生前の、しょぼくれたサラリーマンに至る。頭を使わずに、まるで魂が抜かれたかのように生活していた。 (そっか…そりゃそうだよなあ…行き当たりばったりで生きてきたもんなあ…) 過去の生活を顧み、ネガティブな気持ちになりながら、そのまま意識が遠のいていった。
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