第1章 強くてニューゲーム?

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その翌日のことである。リビングで休憩していると、唐突に父が話しかけてきた。普段仕事で海外に行っている父だが、ゴールデンウィークということで帰国している。 「おい、ワタル。母さんから聞いたぞ。何だこの成績は」 父はそう言った。僕と2人で行った面談とは別に保護者会が行われ、そこで我が子の成績を知ったらしい。成績が大きく下がったことで母もショックを受けているようだったが、それを表に出すことはなかった。それに対し父は、普段は家を空けている癖に、成績にはグチグチと言ってきた。それは以前子供として生活していた頃も同様であり、一時期はそれが原因で関係が悪くなっていた。 「ちょ、ちょっと待ってくれよ。帰国して最初に言うことがそれかよ」 改めて過去に戻っても、父に対する嫌悪感が消えることはなかった。むしろ大人になった分、より理不尽だと感じるようになったのかもしれない。 「帰国直前だろうが何だろうが関係ない。お前だって、ゴールデンウィーク中だろうが何だろうが関係ない。しっかりと勉強しろ」
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