第1章 強くてニューゲーム?

9/11
前へ
/65ページ
次へ
あれから僕は必死に勉強を重ねた。ゴールデンウィークにもかかわらず、遊びの類は全て断り、勉強に専念した。 あれだけ熱中していた部活、ゲーム、漫画に至っては、どこかドライになって取り組んでいた。ゲームや漫画に至ってはオチが分かっていたり、以前クリアしたりしていたため、やらなかったというのもある。ただ部活の場合はドライになった分、冷静な判断が出来るようになったり、無茶をしなくなったりといった利点もあった。結果は「以前」と同様に予選敗退で終わったが、以前よりもやりきったという感覚はあった。 勉強をしている中、徐々にクラスメイトの合否を思い出していった。 田中は確か、第一志望に合格し、そこでより一層サッカーに励んでいたはずだ。 塾で必死に勉強している佐藤は、残念ながら第一志望には数点届かず落ちる。だがそこで彼女が出来、国立大学に合格する。 学級委員長と吹奏楽部を兼任している優等生の加藤は、私立の進学校に特待で入学する。その後の活躍については覚えていないが、彼女のことだからきっと上手くやっていたのだろう。ちなみに僕は図書委員に入っているが、正直なところあまり熱心に取り組んでいるとは言えなかった。そのため彼女のことは尊敬していた。 もちろん彼らの中には受験に失敗した者もいる。あまり人の人生に介入するのも考えものだが、志望校に落ちる辛さは身に沁みて分かっている。そのため自分自身の勉強を優先しつつ、友達へのアドバイスも積極的に行った。これで彼らの未来が変わるかどうかは分からない。未来を決めるのは自分自身なのだから。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加