第2章 葛藤

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第2章 葛藤

1学期が終わり、夏休みが始まった。気温は大きく上がり、汗が滴り落ちる。だがそれにどこか気持ちよさも感じていた。夏休みから、志望校別の講座が始まった。僕はもちろん、桜崎第一高校専門の講座を選択した。普段の講義とは異なり、複数の校舎の生徒を1つの大きな校舎に集めて講義を行うという形式だ。普段は毎週土曜日に行われるが、夏休みということで集中講義を連日行っている。 講義の内容は以前の世界線でも聞いた内容だった。加えて現在はその時よりも基礎がしっかりと固まっている。そのため応用的な内容でも、すんなりと頭に入った。 8月中旬にはホテルに泊まっての勉強合宿も行った。講義内容こそ普段と大きく変わることはなかったが、今までとは違う環境で勉強することは、自分にとっては大きな刺激だった。過去に戻る前は地元を離れ、1人で暮らしていた。だがどういうわけか、しばらく両親のもとを離れて勉強するだけでも寂しさを感じていた。 あっという間に1ヶ月近い夏休みは終わった。柄にもなくガリ勉する夏休みを過ごしたが、充実感はひとしおだった。
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