第2章 葛藤

3/9
前へ
/65ページ
次へ
風邪が治った後、僕は田中に、学校で鈴木先輩を見たことを話した。 「あー…あの噂、ホントだったんだ」 どこか納得したような表情で、彼は言った。 「う、噂って…?」 「ちょっとした噂になっていたんだよ。先輩が人間関係も部活も勉強も、何もかもが上手く行かないせいで、精神的に疲れて不登校になったって」 「全然知らなかったぜ…」 今でも信じられないというのが本音だ。鈴木先輩と言えば、何でも出来るうえに、コミュニケーション力も高く、男女ともに人気があった。不登校とは縁の無さそうな人物像だっただけに、ただただ驚いた。 「ていうか随分曖昧だな、その噂」 「まあな…俺も人伝に聞いただけだし。でも勉強で躓いたからっていうのが一番有力だ」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加