第2章 葛藤

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「それこそあり得ないだろ。だってあの鈴木先輩だぜ?模試の成績優秀者にもなったことがあるんだろ?」 学年から何人か出るものの、彼の場合は勉強だけでなくスポーツも優秀だったため、特に驚かれた。彼のような人間を見ると、天は二物を与えずという言葉は嘘ではないかとさえ思える。 「確かにそうだ。けどな、あの高校はそういうのがウジャウジャいるような環境だろ?むしろ今まで勉強面が順調だった分、大きな挫折となったんじゃないか?」 確かに、進学校というのは優秀な人が多く集まる。中学時代は上位に入っていたとしても、高校で振るわなくなるのは珍しい話ではない。まして自分の学力に自信を持っていれば尚更だ。とはいえ、身近の優秀な人に起きれば、信じられないと思うのも事実だった。 「な、なるほどな…」 先輩が後に学生起業を行い、そこで成功することを僕は知っている。その未来を知っていても、彼のことが思わず心配になった。 同時に僕の心には、何か引っかかるものがあった。そしてそれは徐々に、僕の心に染み込んでいった。
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