プロローグ

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塾に到着して数分後、先生が来て講義が始まった。 僕の中身は大人であるため、今の僕にとっては簡単な内容だった。僕が中2の頃受けた内容と同じだったが、なぜか新鮮さを感じた。 徐々に思い出してきた。今受けているのは数学の講義。数学の講義は毎週土曜日に行われている。つまり今日は土曜日のはずだ。確か国語は月曜日、英語は木曜日だったはずだ。もっとも、春休みなどの長期休みにおいては変則的な時間割になるうえに、中3に入ってからは理社が日曜日に加わるが。 (待てよ…?) 自分の部屋で目覚めてから、ずっと考えていた。もしかしたら、これは夢ではなく、僕は本当に中2へと戻ってしまったのではないだろうか?塾に向かう道中で何度も顔をつねってみたが、頬が痛くなる以外には何も起こらなかった。にわかには信じがたいことだが、トラックに轢かれた影響で過去に戻ったり、異世界に行ったりする。ありがちな展開だが、自分の身に起きたと考え、そのことを受け止めることは、とてもではないが出来なかった。だがそうとしか考えられないのも事実だった。
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