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講義が終わり、家に帰る。僕は各々の出来事に既視感を持っていた。
テレビをつけると、昔やっていた懐かしの番組が放送されている。鞄に入っている教科書も、本棚の漫画も、間違いなく僕が中学時代に読んでいたものだ。特に漫画、特に当時好きだったアクション漫画についてはひたすら読んでいた。当時の僕は今後どのような展開が続くのかワクワクしていたが、今の僕は今後の展開について知ってしまっているうえに、丁度僕が大学に入ったあたりに完結したため、どこか寂しい気持ちになった。
これは夢ではない。現実だ。僕は本当に、中学2年生になってしまったのだ。というより、タイムリープしてしまったのだと、次第に考えるようになった。
トラックに轢かれて異世界転生、なんていうのはファンタジーの定番だが、ここは異世界ではない。紛れもなく俺がかつて経験した現実世界だ。だが過去に戻るなんて常識的にはあり得ないうえに、大人だった僕にとって、ここはある種の異世界だった。
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