第1章 強くてニューゲーム?

1/11
前へ
/65ページ
次へ

第1章 強くてニューゲーム?

翌日。中学校の教室で、机を真ん中で囲みながら友人達と駄弁っていた。間もなく春休みということもあってか、気温は上がり、同級生は皆陽気にはしゃいでいた。そういえば、タイムリープする前も、中2の終わりは似たような雰囲気だったと回顧していた。そんな時のことである。 「おい、どうしたんだ?」 「え?」 いきなり友人の田中に声をかけられた。彼は同じサッカー部であると同時に、塾の仲間でもある。成績においては僕の方が上だったが、一方でサッカーの腕前については彼の方が圧倒的だった。僕は一応レギュラー入りしているものの、活躍は出来ていない。彼は部長であるうえに、試合中も誰よりも活躍している。 「なんか、ボーッとしているし、今日テンション低くね?」 「ああ…昨日寝られなくてね」 自分が過去に戻っていること、人生をやり直せるかもしれないということに興奮したあまり、昨日はあまり眠れなかった。加えて中身はアラサーだ。以前中学生活を送った時は、一緒にバカ騒ぎしたこともあった。しかし大学生の頃からだろうか、どこかはっちゃけている周囲をどこか冷めた目で見ていた。大人になったのか、それとも色々拗らせて斜に構えているだけなのかは、僕にも分からなかった。 「まあ、そんな時もあるよなあ…」 田中は言った。彼も色々苦労しているのだろうと思った。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加