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「先週、講義を受けた時の救命士さんが涙ぐんで胸骨圧迫の重要性を話して下さいました。」
数多くの命を救えなかった話、初動対応が間違っていなければ助かる命。
「広瀬が講義を受けてくれてて感謝だが、その救命士さんにも感謝だな。」
課長の顔が柔らかく私を見つめる。
「『肋骨が折れてもいい、心臓が動き出すまで押して下さい!ためらうな!』って涙ぐんでお話しされてたことを思い出したら体が勝手に動いてました。」
「そうか…。」
「あと、その場に居合わせた看護師の方と、AEDを持ってきてくれた女性の方、メガネの男性が119番通報してくださいました。皆さんが連携して下さったので出来た救護活動です。あと、そこに居合わせた小学生の子たちですよ。みんなで応援してくれました。」
「そうだな、一人では難しいことだな。多くの人に姉は助けて頂いたんだな。有り難い…。」
と武田課長が呟いたところ…
「あの…お話し中すみません。広瀬さんと、金居さんの弟さんはお知り合いなのでしたら、私は学校に戻って校長先生に報告させてもらいますね。」
と、村越先生。
「金居さんは今日は学校休んでいいよ。今日は金曜だから体操服と上履き、連絡関係はお友達に後でお家に持っていってもらうよう伝えるね。」
と実咲ちゃんに村越先生がにこやかに話した。
「宜しくお願い致します。」と課長が答える。
「では私はここで失礼します。」
と、村越先生が病院を出ていく。
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