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広瀬家へ訪問
「お母さん、ただいま。」
玄関先でそわそわして立っている。
居ても立っても居られないという素振り。
「紗季〜お帰り!」
「こちら、武田さん。」
「始めまして、武田 敏和と申します。」
「きゃー!ちょっっと!紗季!超イケメンじゃない!」
やだ、お母さん…恥ずかい…。
『母、心の声がだだ漏れですみません。』
小声で敏和さんに伝える。
「かわいいお母さんじゃないか。」
「さ、中に入って!弦!お姉ちゃん帰ってきたよ!」
二人で家の中へ入ると、弟の弦が出てきた。
「始めまして、弟の弦です。」
と照れくさそうに挨拶する。
「始めまして。弦君、武田 敏和です。」
お母さんがリビングへ案内する。
「お父さんがまた作業場へ行ったっきり戻ってこないの、時間は言ってるからもう戻ると思うんだけど…。」
「父さん、姉ちゃんが彼氏連れてくるって言われた日から可笑しかったよ。俺が見ててもあり得ねーって思うような部品間違いしたりさ、あからさまに動揺してる。」
「そうなのよ〜紗季が彼氏を家へ連れて来るなんて初めてだから…。」
お母さんは嬉しそうに話す。
「僕は受け入れていただけるでしょうか?」
不安そうに敏和さんが話すと、
「えーこんなイケメン!大丈夫に決まってるじゃない!しかも、紗季の会社の上司でしょ?」
お母さん!イケメンは当たってるけど、そこ言うところじゃないから!
「すみません、こんな母で…。」
敏和さんはニコニコしてる。
「弦君は学生さん?」
「はい、高専の5年生です。」
「今年、受験?それとも就職?」
「内部の大学に進学しようと思ってます。」
「専攻は?機械関係?」
「情報工学です。」
「将来楽しみだね。僕は経済学部だから分野が違うけど、色々と弦君の話し聞きたいな。」
「僕で良かったら、メッセージアプリ交換します?」
「お願いするよ。」
早速交換してる…。弦って人見知りなのに…こんなに早く打ち解けてるなんて…
お母さんも驚いてる。
「立ち話も…お茶を用意するから。こちらへどうぞ。」
お母さんがリビングへ案内する。
弦と敏和さんが意気投合して話が盛り上がっている。やっぱりこの人あれだけの本読んでるだけあって話の幅が…広い。
弦が楽しそうに話す。
「お父さん、遅いな…。」
私が呟くと、お母さんが
「作業場だから紗季、呼びに行ってよ。」
「分かった。」
「じゃ、僕も一緒に行きます。」
敏和さんがついてきてくれた。
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