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広瀬家へ訪問後~敏和の視点~
「お帰り〜どうだった?」
広瀬家へ挨拶して実家へ紗季と一緒に寄った。
「いやはや…なぁ。」
「ええ…。」
「どうしたの?お父さんに反対されたの?」
不安そうな姉の顔。
「父は反対どころか結婚については大賛成です。というか、ビックリなんですが…。鳥肌モノで…。」
「ん?賛成なら良かったじゃない!どうしたの?」
「父さんと紗季のお父さん、知り合いだった。」
「えー!そんなことあるの?!」
姉が驚く。そりゃそうだ。俺もビックリ。
「確かに敏和さんはそっくりだな、って遺影を見て思っていたんですけど、父が敏和さんを見た時『真和さん!』って呼んで、ビックリしました。」
「え?二人の接点って、あったの?」
「父さんさ、自治省の官僚だった頃、岡山でリーディング・プロジェクトがあって、この前キャンプに行った美星の天体望遠鏡建設に関わっていたらしく、その時、広瀬さんと出会ったらしい。」
「え?ちょっっと待ってて!」
姉さんが慌てて仏壇の引き出しを開けお菓子の缶を持ってきた。
「父さん、亡くなるちょっと前、私に缶を見せてくれて色々話してくれたんだけど…紗季ちゃん、もしかしてハワイで生まれた?」
「え?はい。父の仕事の関係で3歳位までハワイで育ちました。国籍は18歳の時に日本のみにしましたけど。」
「やっぱり!」
姉さんが缶を開け古い手紙や写真を取り出した。
「この写真、紗季ちゃん家族じゃない?」
1枚の家族写真を見せた。両親と3歳くらいの女の子。女の子の顔…よく見ると…幼い紗季だ!
「これ!昔住んでた家です!当時の記憶は無いんですけど、同じ写真がうちにあります!」
「やっぱり、父さんが生前、『この人が居なかったらお前達はこの世に生まれてなかったかもな』って笑って話してくれたのよ。」
と、姉さんは微笑んだ。
「どういう事?」
「この、人、広瀬さんが父さんと母さんの中を取り持ってくれたから結婚出来たんだって。」
「「えー?!」」
「その話はうちの父からは聞いてないです。」
「父さん、照れくさそうに話してくれたんだけど…『なかなか、絵梨に思いを伝えられなくてウジウジ悩んでいたら年下の広瀬さんに『この!ヘタレ!』って喝を入れられて告白して上手くいったんだって。」
アハハハ、父さんらしい。
「笑うとこじゃないと思うけど…敏和も同じじゃない?雅治君に喝入れられたと思うけど。」
ニヤリと姉が俺を見る。
ギクッ。
紗季が笑う。やめてくれよ俺に振るの。
「だからか~やたら『偶然じゃないよ。じいじが呼んでるよ』って実咲が言ってたの。あの子、最近はあまり言わなくなってきたけど、赤ちゃんの時から何か他の人には見えないものがよく見えてて、『今、じいじとばあばあとお話してた』なんてよく言うから。」
父さんが紗季と引き合わせてくれたのか…
そう思うと感慨深かった。
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