恋は異なもの味なもの

一周忌法要

敏和さんのお父様『真和』さんの一周忌法要が12月28日御命日にお寺で執り行われる。

平日に皆で休みを取ってゆっくりお参りする運びとなった。

「奈央ちゃん！久しぶり！」

「真希おばさんお久しぶりです！」

「お腹、かなり大きくなったわね…。」

「双子なんで、実咲の時より大きく感じます。今週で24周目です。」

「予定日は？いつ？」

「4月1日なんです。でも早まるかな…。」

そうなんです！奈央さん妊活するって言うやいなや授かった！…多分…キャンプの時？
男女の双子ちゃんがお腹の中に。
実咲ちゃんは更にお姉さんになって奈央さんを手伝ってくれてる。

お寺の納骨堂に武田家のお墓が有るらしい。

お母様が亡くなってお父様が施主として建てたそうだ。最新型のカードで出てくるお墓。お墓事情も変わってきてるんだって思った。

うちの両親、天満社長夫妻、金居家全員が揃い、お寺にて法要を行なった。

法要が済んでお墓の方へ案内される。

「凄い！お墓じゃないみたい、ホテルのロビー？」

「そうなのよ、ここはお寺が直営でやってるけど、石材屋さんが経営してる納骨堂もあるらしいわよ。」

奈央さんが答えてくれた。

「カードをかざすとお墓が出てくるって凄いですね。」

「石のお墓と違って雨や風、暑さは関係無いわね。」

「確かに、楽ですね。」

笑ってロビーに入って受付をみたら…

「え？カヲルさん？！」

「あ、紗季ちゃん！」

「え？何でここに？！」

「私、ここでパートしてるの！」

「えー？！」

「偶然だったんだけど、武田家がお墓を購入された後に私は働き出したんだ〜ほら、食べ盛りが3人いるから、食費が大変なのよ〜」
笑いながらカヲルさんが言う。

「カヲルさん、どこが空いてる？」
敏和さんが聞いた。

「4階が今、どなたもいらっしやらないから、どうぞ。ご納骨中の札下げておくから貸し切りにしておくわ。」

「ありがとう。」

「貸し切り？」

「カード式は墓石は共有なんだ。御遺骨が入っている御厨子、つまり、収納されてる箱だけが入れ替わってお参りする形なんだ。だから混雑時は譲り合ってもらうんだけど、今日は平日だし、お参りの方が少ないからから30分くらいは皆さんでゆっくり談笑してよ。故人の方が喜ぶよ。」

カヲルさんがエレベーターのボタンを押してくれた。