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4階へエレベーターで上がる。
フロアへたどり着くと11面観音様がいらっしゃった。
お墓の場所?間仕切りされたお参り箇所が3箇所あった。
敏和さんがカードを出し、中央のお墓の所へ行き駅の改札の様に《Card》と書かれた場所へカードをかざした。
しばらくして扉が開き、お墓が現れた。
「凄い!」
思わず言ってしまった。
「そうだよね。初めて見たときは正直、俺も驚いたよ。」
ご焼香台と造花だけどお花が備えられてる。
お焼香台前に奈央さんが和菓子の箱をお供えした。
「お父さんが大好きだった《髙砂屋》の塩大福よ。」
と墓石に向かって奈央さんが話す。
「そうだ、真和さん、酒も好きだったけど、甘党だったな…。」
お父さんが呟く。
「そうなんですよ!脳梗塞で倒れてから糖分控えるように言われてたのに、私に隠れてコソコソ食べてて…。何度となく叱りましたよ。」
奈央さんが笑いながら話す。
「あっじいじが『ゴメンナサイ』って。」
「実咲、見えるの?」
「うん、そこにじいじとばあばがいるよ。」
と、実咲ちゃんが嬉しそう休憩用の椅子を指差す。
一同驚く。
「実咲、じいじ、何か言ってる?」
「うん、『お姉ちゃんのお父さん、会いたかったよ』って。『来てくれてありがとう』ってばあばが言ってるよ。」
「真和さん、絵梨ちゃん…。ご無沙汰だね。俺も会いたかったよ…。」
お父さんが涙を浮かべている。
横のモニター画面に故人の写真が映し出された。
凄い!お墓参りで映像を見ることができるなんて。
ふと、お父さんを見ると懐かしそうに写真を眺めて、
「これ、この写真、俺が撮影した。」
と、呟いた。
「え?そうなの?」
「岡山の美星市で仕事していた時の写真だね。」
「そっか。」
「今日は一緒にお参りさせて頂いてよかったよ。」
敏和さんのお父様、お母様も喜んでくれたね。
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