結婚の儀

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結婚の儀

11月3日文化の日 快晴の秋、喜詞部(きしべ)神社で私達の結婚式が行われた。 披露宴は後日、敏和さんの専務取締役就任も兼ねてお披露目となる。 私も秘書として日々勉強しなければ! 両家別々で控室かあり、広瀬家控室にうちの家族が集まっている。 白無垢に綿帽子を被り純和装の花嫁衣装。 母方のお祖父ちゃん、お祖母ちゃんも広島の田舎から来てくれた。 「紗季ちゃん、綺麗じゃのう〜」 今年80歳になるお祖父ちゃんが目を細める。 「私の若い頃そっくりじゃて。」 お祖母ちゃんが笑いながら言う。 「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも遠いのに来てくれてありがとう。」 「まだまだ足腰はきたえとるけぇのぉ大丈夫じゃよ。」 「お祖父さんと毎朝あるいとるけぇのぉ…。」 この二人はホントに元気。 「孫の結婚式に出るのは夢じゃった。うれしいのぅ。」 「ほんま、孫の結婚式にじーさん、ばーさんまで出席出来るとは…」 と、お父さんのおじいちゃんが言う。 父方の祖父母も健在な我が親族。 うちは長寿家系。 「広瀬さんとまた会えるとは思わなんだ。」 「ほんま。(しょう)(紗季の父)の結婚式以来だから、27、8年ぶりちゃいますか?」 「次は弦君の結婚式か…後10年は元気で過ごさないといけんじゃろて。」 「ほんまですな。お互い次また会えるのを楽しみにしまひょ。」 この祖父母'sなら…さもありなん。 《コンコン》 ドアがノックされ 「すみません、お時間となりましたので皆様神殿の方へご移動願います。」 とスタッフの方が入ってこられた。 介添えの方が私の手を取り手伝ってくれる。 神主様、巫女さんが先導して新郎、新郎側のし、新婦、新婦側の親類、仲人と順に入場する。 神前に向かって右に敏和さん、左に私が並ぶ。 紋付き袴の敏和さん。かっこいい! 「紗季…綺麗だよ。」 「ありがとうございます。敏和さんも素敵です。」 小声で話す。 神主様が紙垂(しで)を持ち 「これより武田 敏和さん、広瀬 紗季さんの婚礼の儀を執り行います。頭をお下げ下さい。」 頭を下げる。 紙垂を振り祓い清められる。 神主様が祝詞(のりと)を上げ神様に二人の結婚を報告する。 続いて三々九度の盃。お神酒、日本酒。事前にお酒が弱いと伝えたら清水にしてくださると。安心した。 巫女さんが大中小3つの盃にお神酒(清水)を注ぐ。新郎新婦が交互にお神酒を頂き、夫婦の永遠の契りを結ぶ。 神酒には、繁栄と魔よけの意味もあるそう…。 「では指輪の交換をお願いします。」 リングクッションに乗った結婚指輪を敏和さんが先に取る。私の左薬指にはめる。次に私が指輪を取り、敏和さんの左薬指にはめた。 「続きまして、誓詞奏上(せいしそうじょう)をお願いいたします」神主様に言われ、二人で和紙に書かれた文章を読み上げる。 「「本日、皆様のお立会いのもと、新郎である私、武田 敏和と新婦である私、紗季はこれから幸せや喜びだけでなく苦しみも悲しみもすべて二人で分かち合い、明るく温かい家庭を築いていくことをここに誓います。」」  誓いの言葉をあげ、続いて玉串奉納。 玉串を手渡され神前に奉納。 着席したら、巫女さんの奉納の舞が始まった。 舞が終ると、巫女さんが参列者に盃を渡し御神酒を注ぐ。 一同起立して一斉に3回に分けてで飲み干す。 事前に、説明があったので滞り無く済んだ。 神主様が前に出てお辞儀をされた。 最後の斎主挨拶だ。 「これにて武田 敏和さん、紗季さんの結婚の儀を神様にご報告致しました。末永くお幸せに。」 一同、神殿を退場する。
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