卯月

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卯月

4月1日。 私、広瀬 紗季(ひろせ さき)24歳 Jupiter co.,Ltd.㈱(ジュピター・コーポレート)入社して2年が過ぎ今年4月から3年目、念願の営業部から企画営業部2課へ配属された。 企画営業部は1課と2課ができ、 1課は主に商品開発、広告などの企画。 2課は主にマーケティングと市場調査、売上の分析が主だ。 これまで企画営業部は一つの部署だったが、今年の4月から新たに部を2つに分けてより細かに業務を分けて効率を図ることになったそうで、希望を出していた私に白羽の矢が刺さったのだった。 オマケに同期で仲の良い 松井 美帆(まつい みほ)24歳と同じ企画営業部2課に配属された。 「おはよー紗季!」 「おはよ美帆。」 職場のあるオフィスビルのエレベーター前で美帆と会った。 「今日から同じ部署だね。ヨロシク!」 「こちらこそ。」 13階建てのビルのエレベーター10階へ向う。このビルはジュピター・コーポレートの本社の自社ビルだ。 私達同期は全部で8名だが美帆とは馬が合いよく休みの日も遊びに出かける仲だ。 「2課の新しい課長ってかなり仕事ができてイケメンだってよ!」 とイケメン好きの美帆が嬉しそうに言う。 「へー。どこ情報?」 「受付の高柳さん。」 受付のキレイなお姉様の顔を思い出した。 いつもハイスペックな殿方を探していらっしゃると美帆が教えてくれる。 私は気の無い返事で 「仕事が出来るってのは有り難いなぁ。私は折角、企画営業に入れたかバリバリ仕事したい!」 と拳を握る。 「紗季〜仕事もいいけどさぁ〜紗季から早く恋バナ聞きたいんですけどぉ〜、」 「いやいや、そっちは要らないから。」 大学卒業と共に別れた彼氏。その後は仕事に追われ、たまの休みには推しのライブに行く。 でも結構満足している生活…。 「そういう美帆こそ、どうなのよ?」 「あー私は当分いいや。」 苦笑いする美帆。 「そっか。」 美帆は1年付き合っていた彼氏と最近別れたばかり。 二人で笑いながら配属先のフロアーへ行き新しい『企画営業』とプレートがかかる部屋へ入る。
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