卯月

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3月末にフロアが10階だとは聞いていたけど、具体的な座席は聞いてない。 部屋に入ると入口付近のホワイトボードに 座席表が貼られていた。ホワイトボードの前に折りたたみテーブルがあり、コピーされた座席表の束が置いてあった。 1枚、手に取り二人で見た。 「ん?うちらの場所、一番奥っぽい。」 座席に近づいてみると、大きなデスクが一つ中央にあり、各デスクが6座席あった。ここが企画営業部2課。 座席表を見て、 「このお誕生日席が課長みたいね。」 と美帆が言う。 「プッお誕生日席って!」 その隣に同じように大きなデスクの横並びにまた大きなデスク、各デスクが10席ある。こっちが企画営業部1課のようだ。 「武田課長の席の隣が1課の北川課長、その隣の中央が佐伯部長の席だね。部長の奥のパーテーションはミーティング室かな?」 美帆が座席表を見ながら指差す。 「うちらは…末席の…紗季と私はお向かいさんね。」と座席表を見せてくれた。 「おっここだね。」 と私が指さした席にはノートPCがセットされている。 「システムさんこれ全部セットしてくれたんだよね。」 「感謝、感謝。自分でやると翌日になる。」 「だよねー」 と話していると、続々と皆出勤してきた。 「おはようございます。」 「「おはようございます!」」 と皆、挨拶していたところ… 我々の同期の三宅君が入ってきて、 「皆さん!11階の会議室へお集まり下さい!」 と大きな声で呼びかける。 「おっ、三宅君は1課に入ったんだよね。」 と美帆が言う。 「知らなかった。」 「てか、私も昨日バッタリ会って本人に聞いたばかり。」 「なんだ。」 「じゃ、上行こうか。」 と、階段で上がる。 会議室へ入る。 2人づつ座れるように長机が横に3列、 縦に5列。計30人は座れるようにセットされている。 「座る座席はどこでも構わないそうなので適当に座って下さい!」 三宅君が呼びかける。 彼は議事を頼まれてアシストしているのだろう。 各々、座り始め私も美帆と並んで真ん中くらいの席に座る。 皆、着席した頃座席の後ろの入口から部長を先頭に課長達が入ってきた。 座席の前に3人並んでたった姿を見た私は… 「!?」驚き美帆を見た。 美帆も驚いて私を見る。 『似てない?』『てか、本人?』 小声で二人話す。 私の推しミュージシャンの『Take』に課長がとても似てるのだ! びっくりした顔をしたらバチッと課長と目があってしまった! (やばっ!) 思わず目を逸らした。 「おはようございます!皆様お集まり頂きありがとうございます。これより本年度から新規部署のご説明と、部長、課長からのご挨拶を賜りたいと思います。進行役は本年度より企画営業部1課配属になりました三宅がさせていただきます。宜しくお願い致します。」 緊張した面持ちの三宅君が司会をする。 彼は我々同期の中でもずば抜けて営業成績が良かったので抜擢されたのだろう。 『三宅君、出世コースやな。』 と、美帆。 『そやな。』 と小声で私が答える。 負けずぎらいな私だが三宅君には敵わないと入社当時から思っていた。彼は顔もいいけど人柄もいい。だから、かなり…モテる。 ただ、美帆も私もいい仲間としか見れない。 適材適所。自分に与えられた仕事を目一杯頑張り、精進していくを私はモットーとしている。
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