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病室を出て、
「さて、俺は一旦コイツの家へ行って姉の着替え取ってまた病院へ戻るよ、あと、義兄にも連絡するが、広瀬はどうする?今日は休んでいいぞ。」
「そうですね、特に今日は資料整理だけだったので…。」
「実咲、お腹へった…。」
そうだ、今何時だっけ?
「おっもう12時過ぎてたか、とりあえず昼食べるか。」
「食べる!食べる!お姉ちゃんも一緒に!」
「広瀬、とりあえず一緒にいいか?」
「はい。」
「やった!実咲、ハンバーガーがいい!」
嬉しそうに笑う実咲ちゃんをみたらこっちも嬉しくなってしまう。
病院の駐車場へ行き課長のSUV車に乗せてもらう。さすが課長、車もスタイリッシュ!自宅の方へ向かい、私も知っている『パンと料理とお酒』と書かれたレストランの駐車場へ入る。
「ごめん、もっとマシなとこへ連れていってお礼したいとこなんだけど、コイツがいるから、悪い。」
「あっ、いえ、私はどこでも。実咲ちゃんが好きなところで大丈夫ですよ。」
「敏兄!パフェもね!」
「はいはい。」
親子でもなく、兄妹でもない、この不思議な関係の掛け合いが微笑ましくなった。
お店に入り、注文を済ませたところで…
「ちょっと義兄に電話してくる。」と課長が外に出た。
「お姉ちゃん、明日はお休み?」
「そうだよ。」
「じゃ、明日、一緒に道場に来て!楽しいよ!」
もう、何でこんなにかわいいのよぉ〜。
電話が終わった課長が戻ってきた。
席に着くなり、
「広瀬は合気道やってたのは知らなかったな。」
「そうですね、入社してから忙しくてなかなか時間が取れなくて、学生の頃は部活でやっていただけなので、どこかの道場や体育館などへは通ったことが無かったもので…。」
「お姉ちゃんも一緒にやろうよ〜明日の3時からあるよ!」
「そうなの?」
実咲ちゃん、可愛いなぁ。これだけ誘われたら行こうかな。
「無理にとは言わないが、来るか?姉さんのことは義兄にまかせるし。」
「じゃ、参加させていただきます。場所はどちらですか?」
「実咲はいっつも自転車で行くよ。」
「近いの?」
「喜詞部神社の近くだよ。」
「あっ大きな公園の近くの神社ですか?うちから近いです。そんなところに道場あったんですね。」
「そうだ、広瀬は実咲の家の近くだよな。」
「はい。小学校の前をいつも通って駅まで歩いて通勤してます。」
「実は実咲の家は俺の実家なんだよ。」
「え?じゃあの小学校は課長の母校ですか?」
「そういう事。今は別に住んでるけど、昨年の12月に父親が亡くなったんだが、生前は姉夫婦が父を実家で介護してくれてたんだ。まぁ、実咲の学校選びも大変だし、この辺は治安もいいし、落ち着いた校区だって事で、そのまま実家に住んでもらってる。」
そうだったのか…。お母さんも亡くなったってさっきお姉さんが言ってたけど、ご両親とも他界されたのか…。
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