救護した人は課長のお姉さん!?

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「一度、家に戻るから実咲はママの着替え用意しろよ。」 「アイアイサー!」 実咲ちゃん、敬礼する。かわいい! 「義理の兄も道場に通ってるんだけど、明日は流石に姉さんに付き添ってもらうよ。広瀬が都合が悪くなければ、後で会ってくれるか?」 「はい。大丈夫ですよ。」 「じゃ、一旦家行くぞ、実咲。」 「は〜い!」 お店を出で車に乗り家路へ向う。 5分後車で走ったところで小学校の前の道に出た、午前中の出来事が夢だったかのような日常風景。 小学校を通り過ぎ、小さな公園の交差点で左折したら、課長が車を止めた。 「先に降りてくれる?」 「え?ここがご実家だったんですか?私、毎朝、このお家の前を通ってます!」 ここだったの?石垣が立派な日本庭園ぽい植木が垣根から少し見えて、屋根が瓦で新しい家が立ち並ぶなかで昔からあるお家っぽいなぁ〜と思ってた。敷地だって凄く広そうだなぁって。 「広瀬の家って…」 「この交差点を右折した突き当りのマンションです。」 「え?あそこ?大家さん、知り合い。」 「えー?!お世話になってます。」 「いや、俺はお世話してない。」 課長が笑う。 「俺はとりあえず、これから駅へ向うから、車はちょっと路駐するけど、中入って。」 促されて、車を降り玄関ポーチへ向う。 実咲ちゃんが先に玄関へ進む。 純和風の趣きのあるお家。 「実咲、鍵持ってる?」 「あるよー開ける。」 と実咲ちゃんがランドセルに付けていたキーホルダーから鍵を出して玄関の鍵を開け、 「広瀬、中入って。」 「お邪魔してます。」 バリアフリーに改装された室内。至る所にポールやスロープが設置されてる (在宅介護されてたんだなぁ。) 「何もお構いできないんだけど、2時間以内で戻れると思うから、待ってて。実咲!ちゃんと用意しとけよ!」 「分かってるって!早く敏兄は行ってきて!」 と、課長を両手で追い出す。 「はいはい。すまん、広瀬すぐ戻るから。」 「はい。お気をつけて。」 課長が踵を返し外へ出た。 「さて、じゃここで待ってるから実咲ちゃん、用意してね。」 と玄関の段差に座ったら… 「だめだめ、上がって下さい。」 と手を引っ張られた。 「ここでいいよ。待ってるから。」 「上がって〜」 って可愛い顔でお願いされる。 だめだ、完全に絆された… 「分かりました。ではお邪魔します。」 と言って靴を脱ぎ、揃え中へ入る。 「こちらで少しお待ち下さい。」 と、おませな口調でソファーの方へ案内された。 クスっと笑い 「では、こちらで待たせていただきます。」 と答えたら、 「お飲み物は麦茶で宜しいでしょうか?」 と。ほんっと可愛い子! 「喜んで!麦茶は大好きです。」 と答えたら、台所へ行き、冷蔵庫を開け、グラスを出して注ぎ、お盆に載せてゆっくり運んてきてくれた。 「粗茶ですが。」 実咲ちゃん、1年生だよね?しっかりしてるなぁ。私がこのくらいの時はこんな応対なんて出来なかったよ! 「いただきます。ん!美味しいです!」 ニッコリ笑ってくれる。 「そだ、ママの着替え、用意できる?私はここで待ってるよ。」 「うん、すぐやる!」 と言って2階へ上がっていった。 見るともなしにお座敷の扉が空いていてそこにスタイリッシュなお仏壇が見えた。 実咲ちゃんのおじいちゃんとおばちゃん、課長のご両親だよね?どうしよう…ご挨拶だけでもさせてもらおうかな…。 ためらったが、失礼してお仏壇の前に座り、おりんを鳴らし、両手を合わせる。 (いつも課長にお世話になっております、広瀬 紗季と申します。この度、お姉さんの救護をお手伝いさせて頂きました。何事もなく目を覚まされた事に感謝致します。ご両親が見守ってくださったことだと思ます。) と心のなかでつぶやき、振り返ったら実咲ちゃんが後ろに立ってた! 「うわっびっくりした!」 「へへへ〜じいじとばあばあにご挨拶?」 「ごめんね、勝手に拝ませてもらってしまって。」 「いいよーじいじとばあばあ喜んでるよ!」 「ん?お話できるの?」 「うん、実咲、時々お話してるの。今そこに二人いるよ。『今日、お姉ちゃんと会ったのは偶然じゃないよ、今日会う日だったよ』って今、じいじが言ってる。」 「え?」 ちょっとホラーなの? 「ばあばあは、『御縁を大切にしなさいね。』って。」 「そっか、実咲ちゃんには見えてるの。ではでは改めて、広瀬 紗季と申します。この御縁を大切にさせていただきます。実咲ちゃんとも仲良く出来ますように。」 とお仏壇に手を合わせた。 「ふふふ、二人共ニコニコしてるよ。」 「そっか。よかった。」 今日は色々あったけど、可愛いお友達が出来たことが何より嬉しい。
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