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暫くして玄関の扉が開く音がした。
「実咲!」
「あっパパだ!」
と玄関へ実咲ちゃんが駆け出した。
「お帰りー」
「大丈夫だったか?」
「うん、ママは目が覚めて元気だったよ!」
私が奥から出てきたらパパさんに抱っこされて二人が入ってきた。
「初めまして、金居 誠司と申します。この度は妻が大変お世話になりました。帰り道、敏和君に色々聞きましたが、ありがとうございました。」
と頭を下げる。
おお!実咲ちゃんにそっくり!イケメン、いや、イクメンパパさん!
「あっ初めまして、すみません、お邪魔してます。広瀬 紗季と申します。偶然ですが救護した方がご課長のお姉さんだったのはびっくりだったんですが…」
「いや、対応が早かったお陰で死に至らなかったと聞きました。ホント感謝してもしきれないくらい。」
「あっあの、頭を上げて下さい。でも、ホント助かって良かったです。あの時、私も無我夢中だったので…。」
二人頭を下げ合う。
「誠司さん、とりあえず姉さんとこに行ってもらえる?顔みたいだろ?」
「そうだな。実咲、一緒に行こう。」
パパさんの腕からすり抜け私にくっついてきた実咲ちゃん。
「やだ、今日は紗季お姉ちゃんの日。」
「はぁ?もう、いい加減、広瀬から離れろ。」
「やだよ〜敏兄にお姉ちゃんあげない。」
「はぁ?」
「明日も広瀬と道場行けるだろ?もういい加減離れろ。」
「やだー」と泣きそうな顔になる。
「実咲、今日さ、お姉ちゃんは、色々と手伝ってくれたよな?」
パパさんが優しく実咲ちゃんの目を見ながら諭す。
「さっき、敏和から聞いたけど、明日、お姉ちゃん一緒に道場行ってくれるって約束してくれたんだよな?」
「うん。」
「じゃさ、今日はもうバイバイしよう。また明日会おう。」
ぷーと頬を膨らませてる。
皆困ってるので私が助け舟を出した。
「実咲ちゃん、明日3時から道場あるんだっけ?2時位にお家に来るから一緒に連れってって。私さ、今から道着探さないと、どっかに片づけたままなのよ。道着が無いと道場に行けないなぁ。」
ちょっと困った顔をしてみた。
「な、実咲、みんな色々と用事があるんだよ。だから今日はここでバイバイしよ。」
「分かった…。」
パパさんが実咲ちゃんの頭をを撫でながら
「よし、ママとこに行こう。」
「はーい。お姉ちゃんまた明日ね。」
「うん、約束するよ。また明日ね。」
と言うと実咲ちゃんニッコリ笑ってくれた。
「広瀬、済まない、また明日も付き合わせることになってしまって…。」
「大丈夫ですよ。あ、明日、何か必要な物ってありますか?」
「有段者手帳持ってるよな?出来れば持ってきて欲しい。」
「はい。道着と一緒にあると思いますが探します。では、私はここで失礼します。」
「広瀬さん、改めてまた妻と一緒にお礼させてね。」
「はい。では、奥様にお大事にとお伝え下さい。」
と、玄関の方へ向う。
「お姉ちゃんバイバイ!」
と実咲ちゃんが手を振る。私も手を振り玄関を出た。
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