キミは理想のカノジョ

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「──今日も遅くなるの?」 「そうなんだ、悪い」 「いいよ、気にしないで」  テレビモニターの向こうで謝るアヤトをユウカは許す。仕事で忙しいアヤトが遅くに帰宅する日が一週間続いていた。  ユウカは一週間ずっとダストボックスに夕飯を食べさせている。また、遅くなるという連絡が来るのはいつも夕飯の調理を終えた時で料理を作る量を調整するのは難しい。  アヤトも夕飯の準備をする前に連絡をくれればいいものを。 「いけない」  ユウカの思考はよくない方向になりつつあった。こんなのはアヤトが言う理想のカノジョではない。アヤカは自分の携帯端末を使い連携設定されたアヤトの携帯端末にアクセスした。  理想のカノジョとしてアヤトの疲労が解消できるよう帰る時間を把握していなければならないのだ。 「……誰」  無防備にも開きっぱなしのトークアプリには、ユウカが知らない女とアヤトのやりとりが記録されて映し出されている。  内容は明らかに職場の同僚ではなかった。ずっと理想のカノジョだと言っていてくれていたのに、あんなに愛情をむけてくれていたのに、いつもそばにいたのに。 「──カ、ユウカ?どうしたの、なにか異常でもあった?」  ぼんやりしていたのか、帰ってきたのだろうアヤトが座りこんだユウカを見下ろしていた。 「大丈夫?」 「アヤト君」 「なに」 「私のこと捨てるの?違うよね、違うよね?いっつも私が理想のカノジョって言ってくれてるもん違うよね髪も体も性格も全部全部ぜんぶアヤト君の好みでしょ別の女なんていらないよねいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないない」 暗転。
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