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盗み出したスポイトットは掌サイズの木箱に入っており、木箱を開けてみると、中には今でいう化学器具のスポイトとほぼ同状のものが入っていた。
更に木箱の蓋の方を見てみると、スポイトットの説明書きのような記述書が一枚添えられている。
その記述書を怪盗二枚腰が読んでみると、そこには”使用方法”と”注意事項”と思わしきものが書かれていた。その内容は次の通りである。
一、使用に際しましては、スポイドットの膨らみの部分を親指と人差し指
で摘まむように押し、膨らみの部分を押し潰して下さい。
次に、その状態のまま対象人に向け、その二本の指をお離し下さい。
その距離は5インチ以内が最善です。
すると、スポイドットの腹部が戻る力で恋心を吸い取り始めます。
恋心はその内部にに封じ込めることとなるので、膨らみが戻る間は対
象人との距離をお保ち下さい。
二、この器具は試作品にて、まだ十分な検証は得られていない為、万人に
可能なのかは不確かでございます。充分にご注意の上、複数人にてお
試になることをお勧めします。
三、恋心はこの魔道具で吸い取ることは可能ですが、愛になると吸い取る
ことは出来ません。
記述書に書かれていた内容は以上であるが、その記述書には一つ大事な事が抜けていたのである。
それは、”スポイトットで吸い取った恋心を人に向けて噴き出した場合、それを浴びた人がその恋心を引き継いでてしまう”と言う事である。
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