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第1場面
カルミア:天気がいいから、外で遊びたいのに
鼻の下に鉛筆を挟んでむくれる
アイリス:退屈だあ、つまんないの。
カトレア:本も古いものばかり、飽きたわ
古いペーパーブックをせんす代わりに扇ぐ。
下手から抜き足差し足忍び足のベティ先生は、寮の部屋のドアを勢いよく開ける。
ベティ先生:またおさぼりかい!?算数をやりなさいって言ったでしょ。
カルミア、アイリス、カトレアは慌てて机に向かう。ベティ先生は、三人のノートをリズミカルに回収して立ったまま壁をバンと叩く。
ベティ先生:カルミア!7×9が60ってあんた幾つだい?
カルミア:9歳だよっ。(明るく)
ベティ先生:7×9=63、しちくろじゅうさん!7の段全部言いなさい!
カルミア:7×1=7、7×2=14、7×3=21、7×4=28、7×5=35、7×6=42、7×7…は、あと一つでラッキーセブン、7×8=悩みはない、7×9=泣くなみんな
楽しそうに誤魔化すカルミア。
ベティ先生:上手いこと言ったつもりかい?九九をちゃんと覚えるまでおやつ抜き!
カルミア:えー酷い!でも、おやつはベティ先生のまっずーい固ぁいクッキーだし要らない
横を向いてプイっとするカルミア。
ベティ先生:罰当たりが!食べ物への感謝が足りない
カルミアは先生にではなく、手にクッキーを持ったフリをしてクッキーに真剣に謝る。
カルミア:クッキーさん、ごめんなさい
ベティ先生:チッ!可愛げのない。次、アイリス。3+8=13ってあんたねぇ…幾つだい?
アイリス:…はっ…8歳。ごめんなさい、ベティ先生。(しょぼんと)
ベティ先生:アイリスは素直だ。カルミアみたくならないようにちゃんと勉強しな、いいね!
アイリス:はっはい…
ベティ先生:次、カトレア。123×123=15129?あんた、いつの間にこんな計算やったの?
カトレア:ベティ先生の宿題は終わったので、もっと大きな数でかけ算をしました。
ベティ先生:まあ、よくやったんじゃない?でもね!お喋りをするなと言ったはずだ。あんたは幾つだ?
カトレア:10歳です、ベティ先生
ベティ先生:そう、あんたが一番年上。おてんばなカルミアと引っ込み思案のアイリスがお喋りをしたら注意するのがお姉さんだ。一緒にお喋りしてどうする?
カトレア:すみません、ベティ先生。もうしません。
ベティ先生:カトレア、まずはあんたがしっかりしな!そうすりゃこの二人はあんたの真似をして似てくる、手本になりな、わかったかい?
カトレア:はい、ベティ先生
カルミア:カトレアは私たちのお手本。カトレアのお手本はベティ先生…。ええっ?私たちベティ先生みたいな怖い人になっちゃうの!?
アイリスが笑いを堪えて震える。ベティ先生はカルミアを叱ろうと一歩前に出る。カトレアがカルミアの服の袖を引っ張って庇う。
カトレア:違うわ、カルミア。先生みたいな礼儀厳正しい人になるのよ。そうよね?
カルミア:そ、そう。礼儀正しい人になりま~す、先生みたいな。(ひきつった笑顔)
ベティ先生:怖くて悪かったねぇ、厳しくしないとあんた達が大人になって困るからだよ!世の中は私より怖くて厳しい。しっかり勉強してお手伝いもしな、いいね!
カルミア、アイリス、カトレア:ハイ!
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