置き忘れの傘

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置き忘れの傘

ある日 置かれた傘 その日は雨が降っていた 傘をさして歩くきみは とてもきれいに見えた きみは 雨が降ると いつもその傘をさして 歩いているのが とても幸せそうだった でも ある日置かれた傘 置いていかれた傘 ちょっと待って! 声をかけても届かない あぁあ、行っちゃった。 でも、明日にはきっと 取りに来るさ! そう思って 待っていた 何日も待って 待って 待って まだ来ない 雨が降っても 取りに来ない 大丈夫かな? 心配しても 早く来てー! きみに呼び掛けても きみが取りに来ることはない ずっと待っても きみは来なかった 本当は きみに伝えたかった きみに会いたかった この 病院に置き去りにされた傘 きみの傘 ボク きみにはもう 会うことはできないと知った きみのお母さんが 目から雨を流しながら来る 雨を防げても きみを守れなかった この 悲しい雨を 傘で 防ぐことができなかった ボクの役目は終わったんだ 今きみのそばに行くよ もう 置いていかせたりなんて しないんだから 今度はちゃんと きみを守るよ
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