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周りの先輩が驚いた顔で柊木先輩を見る。
「お前、そうなの?」
「は、何言ってんだよ勝手な嘘ついてんじゃねえ」
「自分の気持ちに嘘つかない方がいいんじゃないですか?あと、俺、何があっても柊木先輩のこと好きにならないんで、安心してください」
なんか期待してたのかな。絶望で死にそうな顔してる。俺のこと好きになったところで付き合える可能性なんかないのに。虚しいだけだよ。
「え、お前、そうだったんだ」
「ち、ちげえよ。こんな奴好きになる方がおかしい」
友だちと気まずい雰囲気になっている柊木先輩を見ていると、いつの間にか後ろに莉都がいて、俺の服の裾を掴んでいた。
「レン、行こ?」
何かを思いつめたような顔で俺を見上げる。
「ああ、行こうぜ」
「てかさ、課題まじだるくね、ありえないんだけど」
「…んー」
「…莉都、聞いてる?」
「んー、うん…」
「絶対聞いてない。なんか考えごとしてるだろ」
「うん……うん?してない」
「絶対してる。なんかあった?」
「別に。なんでもない」
「言えよ。聞くから」
「……やっぱ、男同士っておかしいのかな?」
「お前、さっきの聞いてたんか」
不安にさせちゃったかな。どうしよう。たぶん今なんかしても嫌になるだけだと思う。絶対やめた方がいいやつ、だよな…。
「莉都、帰ろう……え?」
いつもならうんって即答で来るのに、机に突っ伏したままだ。莉都の周りにはあんまり人はいなくて、1人で泣いているようだった。なんで。
「莉都…?」
「来ないで」
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