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「レン?何やってんの?」
「アリの巣に水入れてる」
「莉都ー」
「あ、レン!」
走馬灯のように昔のシーンが流れていく。なんだ?これ夢だよな。
「葛城くん、人は殴っちゃダメだよ」
「…だっ…て……」
「先生、違うんです、レンはいじめられてたんです!一発やり返しただけなんです!それまでにされてたこと全部見てたんで説明しましょうか!?」
ああ、これ4年生くらいの時の。先生に怒られてた時に突然莉都が飛び込んできて助けてくれたんだ。あの頃から莉都は優しかったなぁ。何故か6年生くらいの時に莉都って呼びたくなくて、胡桃沢だしってことでくるみ呼びにしたんだよな。なんか恥ずかしかったんだ。名前呼び。
「莉都……」
え、なんで泣いてんの俺。この時2年生くらいだろ。俺はこの頃、何を考えてたんだ?わかんねえ。全部忘れちゃったのかもしれない。
忘れてしまいたい。
こんな気持ち。
莉都は友達だ。
忘れろ、葛城レン。
好意など封印してしまえ。
「…おはよう」
「レンおはよー」
「……………ごめんな」
「え?」
「なんでもない」
元気ないな、大丈夫?と言う莉都に背を向け、ロッカーへ向かった。理由なんて分からないけど、昔の夢を見てなんとなく莉都に謝らなきゃいけないと思ったんだ。あんなにリアルな、いや昔本当にあったことが夢に出てくるなんて初めてだった。あの夢は、俺に何かを伝えようとしている。
放課後の教室。
「レン、お前今日元気ない。何かあった?」
「帰る。離して」
「嫌だ!お前が元気ないとか無理」
「やめろ、おい、離せよ!」
渾身の力で莉都を振り払い、走って逃げた。何かいらないことを言ってしまいそうで怖かった。
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