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またあの夢。最近ずっと同じだ。もしかすると、俺は莉都に対して何か特別な感情を抱いていたが何かの理由でそれを消し去ってしまったのかもしれない。その気持ちが何なのかについてはまだわからない…。なぜ自分の気持ちを封印する必要があったのだろう。
俺…何かしたかな。今日レンは不機嫌、というか元気ないというか…。走って逃げて行ってしまったレンを追いかけ、腕を掴んだ。
「なんで避けるんだよ」
「……変な夢見たから…」
夢に影響されるとか、可愛いなぁ。
「なんでそれで俺を避けることになるの」
「謝らなきゃいけないなって思った」
「俺、なんかされたっけ?」
「…莉都。ごめん、俺…俺、ずっと……」
そんな単語がレンの口から出てくるとは思ってなかった。それまで俺の顔を見ていなかったレンと、初めて目が合った。すると急に恥ずかしくなったのか口を閉じてしまった。
「最後まで言ってよ」
「やだ。無理」
可愛いなぁもう。
「レン、俺ずっと」
「言うな!俺より先に言うんじゃない」
どっちが先に言う、とかそういう問題なんだ。俺が何を言いたいかは分かってんのかな?
俺は…なんてことを言いかけたんだ。莉都は友達だろ。ありえない。
そう思った瞬間、それまで抑えていた気持ちが溢れた。思い出した。俺は、小さい頃から莉都のことが好きだったんだ。でも俺は男子だし、莉都も男子だ。莉都が女子だったら良かったのに。何度そう思ったことか。ああ、全部思い出してしまった。忘れたかったことも、忘れようと頑張ったことも。
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