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草、生える
「また、ダメか…」
(実験に失敗し、悔しそうな主人公。フラフラとした足取りで家の外に出て、不毛の荒野を見渡す)
「(回想)私は、植物学者だ。
…とは言うものの、もう何年も植物たるものを見ていないので、もう自分がそうだという自信も失いつつあるが。
調査隊のメンバーとしてこの星に来てもう10年程になるが、過酷な環境に疲弊したメンバーは1人、また1人と栄養失調で倒れていった。やはり人間が生きるためには植物が必要なんだ。心にも。身体にも。
もう生き残ったのは私1人だ。それでも私は研究を続けねばならない。私自身が生きるために。」
「しかし…」
(力なく荒野に膝をつく)
「もう…私も限界だ。情けないが、私の力では不毛の大地に命を与えることはできない。何が…何が植物学者だ!草1本生やすことさえできやしないのに!」
(主人公の頬を涙が伝い、大地に落ちる。その瞬間地面に異変が起きる)
「なんだ?地面で何かが動いて…何か、緑色…こ、これは!植物か!?」
(涙の落ちた場所から爆発的に草が生い茂って広がっていく)
「おお…神よ!感謝します!遂に…遂に私に植物を授けて下さった!これで生きられるぞ!
それにしても…なんと瑞々しい緑なんだ…(ジュルリ
もう何年も…野菜を口にしていない…
いや、ダメだ!この草は未知の植物だ。サンプルを採取して安全性を確認してからでないと…
ああ、でもなんていい匂いなんだ…懐かしい草の香り!ダメだ…もう…我慢できない!!(ムシャムシャ
う…ウマい!この苦味!青臭さ!生きててよかった…。もっと、もっとだ!ウマい!なんてウマいんだ…たまらないぜ…。ウシやヒツジはこんな気分なのか?草がウマい!ウマ過ぎる!ウマ…?ウマって生の草食べるんだったっけ…いや、そんなことはどうでもいい!ああ、ウマい。ウマいんだよー!みんなごめんよ、私だけ、こんなにウマい草を貪り食って!でも止まらないんだ!どんどん食える!いくらでも食える!あ…ちょっと口切れた…でも、本当に涙が出るほどウマい!あ…涙が落ちたところからまた草が!なんてことだ!食い放題だ!草を食い放題だ!フッフッフ…アーハッハッハッハッ!
ウマい、ウマ過ぎて笑いが止まらないwwwwwwwwwwwwwww
草が、草がいくらでも生えてくるwwwwwwwwwwwwwwwww
ちょっと生え過ぎじゃね?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
この星緑の惑星になっちゃうよwwwwwwwwwwwwwwwwww」
(ひと息ついて)
「そっかぁ…植物って、水やらないとダメだったんだ…。」
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