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「ところで、今日は何も買ってくれないのぉ? 折角うちに来たんだから、ジュエリーの一つくらい、彼女にプレゼントしなさいよ!」 美樹はそう言って弟の肘を小突く。 「もちろんそのつもりだよ!」 「えっ?」 奈緒が驚いて声を出す。 「何をプレゼントするの~? まさか婚約指輪?」 「あはは、それはまだだな。俺達まだ付き合い始めたばかりだぞ!」 「んじゃあ、付き合い始めました記念かな? アイテムは何にするの? ネックレス? 指輪?」 兄弟二人で話しがトントン進んで行くのを、 奈緒はただ呆然と見ている。 「指輪だな。奈緒に変な虫がつかないように、目立つのを頼むよ!」 「りょーかい! じゃあ奈緒ちゃんこっちに来て!」 「えっ? えっ? そんな...私そんなつもりで来たんじゃ...」 「いーのいーの、あの人お金いっぱいもってるんだから!」 美樹はそう言いながら奈緒の手を引っ張って行き、 普段使いのジュエリーが並ぶショーケースの前まで連れて行った。
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