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そんな省吾を見て、奈緒は少し困ったような顔をした。
「多分、見つかる確率は低いんです...だから探していただいても見つからないかも...」
「えっ?」
奈緒の言葉にびっくりした省吾は、改めて奈緒を正面から見つめた。
目の前にいる女性は、歳は20代後半くらいだろうか?
色白の肌に大きな瞳、体型は細身で、
ストレートの長い髪が印象的だ。
寒さのせいで、彼女の頬と鼻は赤く染まっていた。
『清楚な感じの美人だな......』
そう思いながら、省吾は奈緒の言葉の意味を確認した。
「見つからないかもしれないのに、探しているの?」
「はい、すみません...実は、その指輪、昨日失くした...あ、違うか...えっと、その...海に投げたんです」
「投げた? 指輪を?」
省吾の声は思わず裏返った。
どうやらその落し物は、普通の落とし物ではなく何やら訳アリの落とし物のようだ。
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