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奈緒は倉本に聞いた。
「今はこの辺りで働いているのですか?」
「はい...そこのビルの中の会社が派遣先です。あの...よろしければ少しだけお時間いただけませんか? 私、麻生さんにお伝えしたい事があって...」
その時、さおりが言った。
「奈緒ちゃん、私達は先に行くわ! 折角だからゆっくりお話ししてきたら? 10分位だったら遅れても大目にみまーす!」
「ボスが何か言って来たら、適当にごまかしておくから安心して!」
恵子もそう言ってくれた。
「すみません...なるべく早く戻りますから」
奈緒が申し訳なさそうにペコリとお辞儀をすると、
二人は倉本に会釈をしてから、会社へ戻って行った。
「で、お話って? あっ、とりあえずあそこのベンチへ行きましょうか?」
奈緒はそう言うと、ビルの窪みにある公園のようなスペースを
指差した。
そこなら人気もなくベンチもあるので、ゆっくり話せそうだ。
二人はベンチの傍まで行くと、並んで腰を下ろした。
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