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「その後、三輪さんが仲良くしている女子社員と話しているのを偶然聞いてしまって.....。その時三輪さんは、江崎さんと付き合う事になったと嬉しそうに話していました。そして、江崎さんが三輪さんの策略にまんまと引っかかったとも言っていました」
「............!」
奈緒は驚きを隠せなかった。
それは一体どういう意味なのだろうか?
徹が三輪の策略にはまった?
三輪が徹を狙っていた?
奈緒の頭の中が一気に混乱する。
奈緒は二人と同じ職場で働いていたのに、
何も気付かなかった自分にも衝撃を受けていた。
三輪のデスクは奈緒の席からかなり離れていたので、
気付かなくても無理はないのかもしれない。
しかし、まさかそんな事になっているとは夢にも思わなかった。
もしかしたら、三輪は奈緒がいない隙を見計らって、
徹にちょっかいを出していたのだろう。
その時急に、三輪の奈緒に対する冷たい目つきを思い出した。
あの挑発するような視線には、そういう意味が含まれていたのかと、
今頃になって奈緒は気づいた。
「辛い話をしてしまい申し訳ありません。でも、その後の話も聞いて下さい」
奈緒は頷くのが精一杯だった。
「それ以降私は仕事中、二人を観察するようになりました。私の目から見ると三輪さんの方が積極的で、江崎さんはどちらかというといつも困ったような表情をしていました。なんとなく私の勘なのですが、江崎さんは三輪さんに弱みを握られているという感じで、仕方なく三輪さんの要望に応えていた...そんな風に見えました。そして、ある日聞いてしまったんです」
「聞いた? 何を?」
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