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「私が備品庫に事務用品を取りに行った時、二人は中で話しをしていたんです。その時江崎さんは、もう二人だけでは会わないと三輪さんにきっぱりと告げていました」 「............」 その時奈緒は思った。 つまりそれまでは二人だけで何度か会っていたという事なのだろうか? 倉本の言う事がもし真実なら、 打ち上げの二次会の後、三輪を家まで送って行って つい魔が差してしまいそういう関係になってしまった? それが、徹が握られた弱みなのだろうか? いずれにせよ、奈緒にとっては辛い現実だった。 例え成り行きだったとしても、それは奈緒に対する立派な裏切りだ。 許されるべき行為ではない。 しかし徹は三輪と別れて、奈緒の元へ戻ろうとしていた? 奈緒は頭がかなり混乱していた。 その時、倉本が、 「大丈夫ですか?」 と心配そうに言ったので、奈緒は、 「あ、はい...大丈夫です、続けて下さい...」 と倉本に言った。 「江崎さんの言葉を聞いた三輪さんは、分かったと返事をしていました。でも別れの条件として、最後にどこか温泉に一泊連れて行ってとせがんでいました。だから、あの事故の時がその温泉旅行だったのかなと思いました。つまり、江崎さんはあの日を最後にきっぱり三輪さんと別れるつもりだったんだと思います。そして、江崎さんが心から結婚したいと思っていた相手は、麻生さん! あなたなんですよ!」 倉本はそう言うと、なぜか泣き出した。 奈緒はそんな倉本を見て驚いた。
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