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「はい...もう必要ないかなと思って海へ捨てたんです...でももしかしたらまた必要になるかもしれなくって...だからもし見つかったら持って帰ろうかなと...アレ? なんか私の説明、変ですか?」 奈緒は説明をしながら、少し混乱しているようだった。 「あ、なんとなーくは、分かります」 省吾はそう言ってクスッと笑った。 『きっと彼氏と喧嘩をして捨てたんだな。でも寄りが戻って慌てて探しに来た? そんな感じか?』 そんな仮説を立てる。 そして奈緒に言った。 「軽い物だったら波で戻って来る確率は高いけれど、指輪は金属で重いから戻って来る可能性は低いかもしれませんね。 それ以前に、砂の中にめり込んでいるかも...。 私は釣りをするんですが、釣りに使うルアーが金属製なんですよ。で、糸が切れて何度か海に落としましたが、波で戻って来る事は一度もなかったからなぁ...」 省吾の話を聞いた奈緒は、「やっぱり!」という顔をした。 そして、ガックリと肩を落としながら言った。 「やっぱりそうですよね...」 「うん、ごめんね...なんかズバリ言っちゃって...」 「いえ...私も薄々そうだろうなぁとは思っていました。だからはっきり言っていただいて良かったです。これで諦めがつきますから...」 奈緒はそう言うと、さらに続けた。
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