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「お二人の事は信頼していますから...それにしても一体誰が...」
「その噂は全くのデタラメなんでしょう? もしそうなら、深山さんに言って対処してもらった方がいいかも!」
「............」
「えっ、あっ、ごめんね...立ち入った事を聞き過ぎたわ...今のは忘れて!」
さおりが申し訳なさそうに言うと、奈緒が言った。
「えっと...少しはあっているというか...」
「「えっ?」」
そこでさおりと恵子が同時に声を発した。
噂が全くの嘘だと思っていただけに、驚いたようだ。
そこで奈緒はフーッと息を吐くと、話し始めた。
「実は、前の会社で結婚を約束した人がいたんです。でも、彼は交通事故で亡くなってしまって......」
「「............」」
二人は衝撃を受け、思わず黙り込む。
しかし、すぐにさおりが言った。
「えっ? そうだったんだ! ごめんね! そんな事とは全く知らなくて、凄く無神経な事を言ってしまったわ...」
「ほんと、私も! 奈緒ちゃんごめんなさい...」
「いえ、いいんです。本当の事ですから...それに...」
「「?」」
「彼が事故にあった時、車の助手席には同じ社内の女性が乗っていたんです。で、その女性も亡くなりました」
「「............」」
二人は同時に押し黙った。
そして秘書室がシーンと静まり返った。
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