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それから一時間ほど経ち、 さおりが総務に用があると言って秘書室を出て行った。 さおりは総務部へ書類を届けた後、 すぐに秘書室には戻らずに、廊下の一番奥まで行き 省吾の部屋をノックした。 「どうぞ!」 省吾の声が聞こえたので、 さおりは失礼しますと言って中へ入った。 中へ入ると、さおりの態度が一変した。 「ちょっとぉ~、省吾ぉ~、奈緒ちゃんの事で話しがあるんだけれど!」 「おいおい、社内では名前の呼びはやめてくれ!」 「いいじゃない、誰もいないんだから!」 「俺達が従姉弟だっていう事は黙っていてくれって言ったのは、さおり姉ちゃんだろう?」 「そりゃそうよ! ちゃんと採用試験を受けてココに入ったのに、美沙みたいにコネ入社だと思われたら嫌だもの!」 「だったら『深山さん』で頼むよ」 「分かったわ! でね......奈緒ちゃんの件なんだけれど...」
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