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「噂話の事だろう?」
「あらっ? もう知ってた? さすが~!」
「昨日杉田と公平の耳に入って来たらしいよ。あいつら各部署に諜報員を忍ばせているからなぁ...」
省吾はそう言ってニヤリと笑う。
「それなら話が早いわ! 噂を流したのは誰?」
「それは今調査中だ」
「噂を流した人は、奈緒ちゃんの前の勤め先を知っている人でしょう?」
「だろうな...となるとかなりかなり限定される...」
「まあ上層部が把握しているなら安心だわ! さっきね、奈緒ちゃん泣いちゃってね...」
「泣いた?」
「そう......ずっとこらえていたんじゃないかな? 見ていて切なかったわ...」
「そうか...」
省吾は少し考え込んだ様子をする。
「あら? 噂の真相がどうなのかを聞かないのね!」
「全部知ってるから!」
「えっ?」
「先月たまたま麻生さんと前の会社の人が話しているのを聞いてしまったんだよ」
「あっ、あの昼休みの時ね! そうなんだ...それにしても酷い話よね」
「ああ...」
「で、犯人が分かったらどうするつもり?」
「まあ、過去の例に則って『島流し』だろうな。俺は社員同士の足の引っ張り合いが一番嫌いなんだ! 俺を怒らせたらただじゃすまないからな...」
「キャア怖い! でもまあそれなら安心ね。今後の見せしめにもなるしね!」
「あとさ...もう一ついい案を思いついたんだよ...」
省吾はそう言うと、さおりに手を振りこっちへ来るように手招きをした。
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